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「オマエ、コレ……血――」
彼の声が強張るから、その綺麗な瞳を見ていたいのに直視できなくて、ギュッと彼の服を掴んだまま瞳を閉じた。
指でどこかに触れようとしていた彼は、今、触れた頬を、二度三度と拭うように撫でてくれる。
彼の袖もそうだけど、私のスカートも尖った石のせいで木炭デッサンの後みたいに所々が真っ黒に汚れていた。
きっと、彼の指先は、その黒い色を、つけてしまったんだと気づいたんだ……。
その仮説を裏付けるみたいに、彼の手のひらに、撫でられていく……。
次の瞬間、顔を上げさせようとする彼の、唇から息が漏れて、口を開くのが分かった。
……ペロ……。
「ふぁ……っ……」
背中が、ゾクッて……なって。
私、どこか、ヘンになっちゃったのかも。
「ぁ、あの……」
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