1.心の音

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「ふ、ぇ……っ? んッ……。」 ――こ、怖いっ。 小さい頃からずっと病院で育ったせいか、集団生活になれていない私は、こう見えて極度の人見知りだった。 あんなに学校生活や友達に憧れていたのに、未だにちょっと勇気がいる。 知らない男の人も、急に手首を掴まれるのも、怖かった。 こんなに強い力で引っ張られた事なんて一度だってないし、男の人って、こんなに乱暴なんだ。 背中もギュッと抱きしめられているし、転がるから体中が痛いし。 それに耳のすぐ側で聞こえる石のぶつかりあう音が、渇いていて、怖い。 音の鳴る尖った石は、今にも割れて刺さったりしそう。 ほんの少し我慢するような彼の声が耳にかかるから、一体何が起こっているのか、理解出来ないでいるのに。 ちょっと痛いほど力強く抱きしめる彼の腕は、一生懸命に私を守ろうとしていた。
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