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ただそれだけで沸騰してしまうほど体中が熱くなった。
彼が私をジッと見るから瞳を逸らすタイミングを失って、肩に変な力が入ったまま、ずっと見ている私がいる。
たった数秒かもしれないけれど、何もかもが止まったように感じるほど、動けなかった。
怖いのに、目鼻立ちが綺麗で、長めの前髪から見えたその瞳は、透き通るアンバーの色だ……。
もう息をしても、いいですかって、聞いてしまいそうなほど……、光に透ける色は綺麗だった。
人見知りだって、ちょっと臆病なだけで、高校では頑張るって決めたから。
だから、ガンバって、フツーにお話ししなきゃ。
「カメラ――」
キミもカメラが好きなんだねって言おうとしたのに、彼が守るように持っていたのは私のカメラだった。
彼の手にあったはずのカメラは消えていて、気づけば彼の背中の向こう側。
探しながらこの状況を理解しようと見渡したそこに、岩にぶつかって傷ついたカメラが落ちていた。
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