第1章

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『7月7日の暑い日』  『…依然、サイバー攻撃を行っている犯人は捜索中です。続いては本日のお天気です』  「いってきます」  毎日変化の少ないニュースを横目に家を出た。  いつも通りの通学路。  この辺は駅も近いってこともあり通勤、通学、バスなどなど…どんなにテンションが低くても自然と人の行き来の騒ぎに巻き込まれてしまう。  (信号が点滅…)  駅までもう少しの交差点、ここは待ち時間が長くて歩行者にとって有名な嫌われ場所。  バスや電車の出発に焦る何人かは左右は何回か見てから猛烈に走っていく。  「っ!」  ほら、今日もクラクションが鳴った…  「ん?」  無意識に向かいのスーツ姿の女性に目がいった。女性の手にはスマートフォンを持っているのに…目線は上の空?  信号が青に変わり、皆が歩き出す。  当然俺も、スーツの女性も…  「っ!!」  「きゃっ!?」  雑多に身動き取れなくて、スーツの女性とぶつかってしまった。女性の手からスマートフォンが落ちる…  この電話は極端に画面が脆い。学校の何人かも落として割った日は一日笑い草かショックで溜息しか出ないイベントになるほどだ。  それをぶつかった拍子に赤の他人のを割ってしまうなんて心苦しい…  「っ! すいませ…ん! それじゃ!」  間一髪、地面に落下する前に何とかキャッチ。  「あ………」  そのまま女性に返す。しっかり手の平に渡す。  何か言われたけど信号が点滅していたので先を急ぐ。  キャッチした拍子に画面を触ってしまったけど、まぁ仕方ない。  さっ…電車に乗って学校へ行こう。
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