第1章

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『4月27日の春うらら・裏』  軽はずみな行動だった…  キッカケにしてみれば悪魔的にタイミングが合ってしまったのかもしれない…  『悩み多い年頃だね~』  ソイツはなにもかもお見通しの口調で近寄ってきた。  『おや? 警戒するのも無理はないね』  「…」  『とはいえ、悩み多い君にコレを…』  「?」  そう言ってソイツは瓶型の駄菓子ラムネを私に渡してきた。  『カモフラージュしてあるけど、中身は君の存在意味…いや、悩みを解決してくれる。それじゃあね』  「え…?」  突然の展開に色々とごちゃ混ぜな脳内に追い打ちをかけるようにソイツは目の前から消えた…  その晩、SNSでムカつくものを見た時についラムネを口にした。  味は懐かしい駄菓子だったが、変化は飲み込んでから少し経ってからだった。  さっきまでイライラしてたことがどうでもよくなった。私の性格の批判、成績、果ては外見まで…もう色々なことがどうでもよくなった。実にくだらない。要は嫉妬でしょ? なんでこんなことで悩んでいたんだろ。  それからも、何かあるたびにラムネを食べて冷静になっていく日々に。  私にとってラムネは掛け替えのない物になっていた…  しかし…学生生活は変わらず、より非常になっていく。  ある朝私の教科書やノート、上履きが酷い状態になっていた。クスクス笑う声に苛立ち教室を飛び出す。走りながらラムネを口に運ぶ。  「ん!?」  走っていた勢いからか一気に口内に入ってしまった。でも、構わず飲み込む。  向かう先は屋上! とりあえず落ち着こう! 血液は体内を駆け巡る! チャイムが耳から鳴り響く! 屋上のドアはねじ切れるくらい軽い! 風が心地いい! 太陽が眩しい! 身体が軽い! 桜が綺麗! 今ならあそこまで飛べそう! 勢いをつけて…掛ける! ホップ!ステップ!ジャンプ!  ほ ら! 柵もラ ク ラク 飛び越 えられた…    それから数日、新たな悩みが出来た私が悩んでいると…  「きれいだね」  「えっ…!」  「あっ、いや……!」  ナニも出来なくなってしまった私だけど、彼になら悩みを打ち明けてみようかな?
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