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「それで私を助けに来たわけね」
監視されていたのは腑に落ちないところだけど少し嬉しかった。
「でもどうやって私の事を知ったのかしら」
「魔界と人間界は簡単に繋がりますので魔界からこちらを見るは容易です」
アムルシャスは人里から離れた湖のほとりに着地した。
まったくこの人は大層なことをしている。聞いたところ魔界の国の上級貴族だと言う。そんな魔界の貴族様がわざわざ人間の娘を嫁に貰いたいと来た。
このアムルシャスを好きになりかけている自分がいる。最初から何故か嫌いになれなかった。それなら別にいいかと思う自分がいるのは確かである。ならば…
「返事をする前にひとつ聞きたいことがあるの。いいかしら?」
「ええ、どんなことでも答えましょう」
「私のこと好きなの? 大事にしてくれる?」
私は今までの質問がどうでもよくなるくらい思いきった質問をぶつけた。
(あなたが何処の誰でもそんなのは関係ない。気持ちを聞かせて欲しい…)
そんな願いを込めた質問だった。
アムルシャスは一瞬目を見開いたがすぐに表情を和らげる。
「ええ、私はあなたが好きです。この身に代えてもあなたをお守りします。どうか私の妻になってください」
アムルシャスは腰に着けている剣を取って渡してきた。
これが彼なりの宣誓であり決意の表れだった。
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