すべての序章

12/29
前へ
/291ページ
次へ
「それじゃこの剣について少々説明をしよう。刃にはこの兄ちゃんが持ってきた緋緋色金を使っている。この緋緋色金というのは特殊な金属でな、見て分かるように鏡のように美しい。俺もここまで美しくなるとは思わなかったよ!」 おじさんは刃に写った顔を見る。 「そして切れ味は最高だ。刃毀(はこぼ)れの心配もないだろう。硬度、軟性、共に言うことなし」 おじさんが剣をアムルシャスへと渡す。 アムルシャスは丁重に受け取り軽く振る。 シュン! 「ふむ。重さも調度良いだろう。それに美しいデザインだ。」 柄は光沢のある青緑。柄頭には白い宝玉が埋め込まれている。 鍔は十字で青銅色。握りにはシルクを使っているため純白。 「満足してもらえたようで良かったよ。でもまだあるぞ。その剣の鞘だ」 ガチャ おじさんが別の風呂敷から鞘を取り出した。 「ほら、華ちゃん持ってみな」 ローリエがおじさんから鞘を受けとる。 鞘は重みが感じられないほど軽く作られていた。 軽く作られているわりになかなか丈夫そうである。 質もそうだがやはり驚いたのはデザインだ。 鞘は白を基調として碧で水鳥の模様が描かれている。 この水鳥はアムルシャスとローリエが湖で見た鳥を模している。
/291ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加