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「え、そんな…」
目の前の凄惨な状況よりも男の強さに驚く。
農民とはいえそれなりの強さの男が十人以上。それに対して剣一本を持って一人で立ち向かった男が勝った。それも一瞬で。
「本当に何者なの?」
男は剣についた血を振り払って鞘に剣を収める。鍔に青色の宝石が埋め込まれているのかそれが月光を反射して輝く。
一瞬だけ目を奪われてしまった。
貴族風の男は死体と化した男たちを一瞥してから私の方に向かってきた。
「申し遅れました。私の名前はアムルシャス・ネーヴェル・フェレオス。貴方を助けるため参上致しました」
男は左膝を地につけて畏まった。
「なぜ私を?」
男が少し顔をあげて続けた。
「私の妻になっていただきたい。」
「……」
「……」
「「……………………。」」
ちょっと何を言ってるのか分からない。いきなり現れて助けてくれて、いきなり告白とかよく分からない。
そもそも出会ってすぐの女に告白するこの貴族風の男は何なんだ。
頭のなかに疑問が沢山浮かび上がる。
(混乱してはいけない。混乱してはいけない。)
とにかく自分に言い聞かせる。
アムルシャスは頭を抱えて葛藤している私を傍目に笑顔で返事を待っていた。
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