第一章

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ブレイク・ザ・ワールド それは新感覚VRMMORPGのゲームタイトルだ。このゲームは全五感を仮想空間に入れることができる。解りやすく言えば、自分がゲームの中に入って自分の体を動かして遊べるのだ。このゲームを開発したのはボクの父親、篠宮龍一郎(しのみやりゅういちろう)である。彼は幼いころから人間の持つ五感に興味があり、大学のころに大脳生理学や量子物理学の研究を積極的に進めて、卒業後約二十年かけて作り上げた。最初はテスト運転としてβテストを限定三千人に抽選させた。三千あるディスクの内一つを、ボクのために取っておいてくれた。初めてこのゲームにログインしたとき、今まで感じなかった高揚感を得た。しかしこれはあくまでテスト運転。僅か二か月半でβテストは終了した。それから四か月。正式にブレイク・ザ・ワールドが発売された。しかし、このゲームは限定台数二万台だけなのだ。内三千台はβテスターに送られる。ボクは父さんから正式のディスク発売日の四日前に貰っている。そのゲームを専用の機械にセットして、オルミフィアを被り、ログイン用のパスワード「コネクト・オン」と呟きゲームを開始する。ゲームを開始して数秒経った頃、目の前に「Well come to Break the World」という文字が浮かんできた。そして更に約二秒後、ボクはゆっくりと目を開いた。そこにはまるで千八百年代のイギリスの街並みらしき世界が広がっていた。そして実感する。再びこの世界に戻ってきたことを。 「戻ってきたんだ、この世界に!」 若干涙目になるも、すぐに気持ちを落ち着かせる。まずは自分のアバターの名前を確認する。自分の視界の左側に緑色のカーソルが見えた。そこにはローマ字で「RUI」と書かれていた。それがボクのアバター名だ。そのあとはメニューを開いて職業を選ぶ。此の世界には七つの職業がある。剣などの近距離戦が得意な<セイバー>。魔法が得意な<キャスター>。馬などの動物に乗りながらの戦闘が得意な<ライダー>。隠密や暗殺が得意な<アサシン>。槍などの長物が得意な<ランサー>。攻撃力が激的に高く、最も扱いづらい<バーサーカー>。そして超遠距離からの狙撃などが可能な<アーチャー>が存在する。その中でボクは遠距離狙撃型のアーチャーを選んだ。すると、 「ん?こんなのあったっけ?」 アーチャーを選んだら、その下に投影、瞬間武器
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