五里霧中編_陸

2/5
前へ
/38ページ
次へ
   以前、一瞬だが、 鏡の眠っている時に出くわしたことがあった。 その時は苦しそうな表情で 私が近づくとすぐに目を覚ました。 こんな風に静かな寝息を立てて、 穏やかな表情で眠っているのは初めて見る。 薄掛けも掛けず、眠っている彼が心配になって 体を起こそうと試みるが、掴まるものもなく、断念した。 その時、私が立てた音に気がついて、鏡がモゾッと動いた。 ハッと息をつめ、目を閉じて、寝たふりをする。 ・・・・・・・・なんだか、気まずくて・・・
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加