五里霧中編_漆

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  私はせめての感謝に毎晩、 鏡のためにおにぎりと具沢山のお味噌汁を作る。 それを鏡は食べながら、 何でもない談笑に織り交ぜて 私が気にしているのを知っていて、 一通り、仕事の進捗などを教えてくれる。   鏡には、感謝することだらけ、だった。 結の許可が下り、数日前、雄太と泉がここを訪れた。 既に泣いたのだろう、 泉は目を真っ赤にして、私に抱きついた。 「・・・・・・・・・・よかった・・・」 ごめん、としか言えなかった。 それでも、 二人は怒ることもなく、ただ、 私をしっかりと抱き締めて、よかった、と繰り返した。
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