告白

4/7
前へ
/160ページ
次へ
「…あっちに濡れてないベンチあるから、座って話さない?」 「…うん」 コクッと頷いて、ゆきの後をついて行く。 ゆきの足が止まってベンチに座り、本を鞄にしまっている。 ホントだ濡れてない。上を見ると木が生い茂ってベンチが影になっていた。 ゆきはここで私を待っててくれたのかな? 「座らないの?」 「す、座ります…」 ゆきは不思議そうな顔で私を見て言ったので、ゆきの隣に座る。 なんで私はゆきの前だとすぐ噛んでしまうのだろう。 落ち着け!落ち着け! 自分に言い聞かせ、手で頬をパチパチ叩く。 「プッ…ホント見てて飽きないね」 「え?」 ゆきは私を見て、ハハハと笑いだす。 「バカにしてるでしょ?」 「うん」 「え?」 「アハハ!冗談だよ」 絶対、冗談じゃないでしょ!私、遊ばれてる? それにしても… 「ゆきって、そんな風に笑うんだね」 「…俺も感情のある生き物ですから。君ほど顔には出さないけど…クク…」 また何かを思い出したかの様に、笑いを堪えてるようだけど… 「君って…」 「え?」 「私にも一応、名前があるんだよ。ま、まさか覚えてないとか?」 「…うん」 「え!?」 「うそ」 「・・・・」 「クク…百面相」 またやられた。調子が狂うなぁ、ゆきって実はドSなんじゃ… 「実桜」 ゆきの口から私の名前を呼ばれると思わなくて、いきなり名前を呼ばれドキっとしてしまった。 「みーお!」 「な、なんでしょう?」 私は今にも顔から火が出そうなくらい熱い顔で、ゆきの方を見る。 「顔、赤いよ?」 「…知ってる」 誰のせいだと思ってんのよー。 でも私が名前で呼んでほしいみたいな感じで言っちゃったから自業自得か。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加