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ーー朝になり、私は目が覚めた。
傷の跡が痛い。
…ゆきが来るのに私は今どんな顔をしているのだろう。
手を伸ばし棚の上から鏡を取る。
…変な顔…見なきゃ良かった。
嫌われて当然かも…。
あんな美人さんと比べられたら、勝てっこない。
涼太君の言う通りだ…。
誰かの話し声が聞こえ、ゆきだと思い慌ててドアと逆を向き、寝たふりをしてしまう。
「雪斗、ちゃんと食べないと実桜ちゃん心配するぞ?」
「うっせーな。俺の事はほっとけよ!」
「まったく…」
…先生とゆきの声?
コンコンとノックの音が聞こえ、誰かが入ってきた。
多分ゆきだ…。
「実桜…」
そんなに優しく呼ばないで…
涙がポタポタ枕に流れていく…。
ゆきは私の背中を見ながら座っているのだろう。
「実桜?いいわけかもしれないけど聞いてほしい」
「・・・・」
「俺…知らなかったんだ。隼人達に騙されて付いて行ったら、あの人がいて…。少しでいいから一緒にいてって言われて断ってたんだけど、今日だけ!話だけでもいいから聞いてほしいって言われて…ごめんなホント」
「・・・・」
ホントになにもなかったの?
「相手の気持ちにもちゃんと断って、もう会わないって言ったから」
ぎゅーっと胸が締め付けられるような痛み。
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