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ーー朝ーー
「…ん、雨?」
雨音で目がさめる。
今日は学校が休みなので、11時からバイトがある。昨日、ゆきに会った事を思い出し、少しニヤける。
でも今日は学校休みだから会えないのか…残念。また喫茶店に来ないかなー。
そぅ、たまに私が働いてる喫茶店にゆきが来て、勉強したり本を読んだりしている。
ーーー1年半前ーーー
忙しいお昼の時間も過ぎ、お店は1度落ち着きを始めた時。
「いらっしゃいませー!何名様ですか?」
「…1人」
って、ゆ、ゆ、ゆき君??
このイケメン様はあの女子の話題に良く出てくる噂のゆき君だ!!
「・・・?」
「あ!こ、こちらへどうぞ!」
落ち着け私!!
ゆき君とはクラスは違うけど、他の子が「A組の雪斗くん!チョーイケメン!男子が、ゆき!ゆき!ってあだ名で呼んでたー!」「ねー!イケメンでしょ~!他の女子は、ゆき君で呼んでたー」って話してたのを聞いて加奈と1度A組に見に行った事がある。
「あのー、ここ座っていいの?」
「え?あ、ど、どうぞどうぞ!」
何やってんだ私!バイト中ではないか!
しっかりしろ!!
「あの、お決まりになりましたらお呼び下さい!」
「アイスコーヒーで」
「はい、アイスコーヒーですね!今お待ちしますので少々お待ちください」
ペコっと頭を下げて私は厨房の方へ歩く。そうだ、ゆき君は私の事なんか知らないんだから、こんなに緊張しなくていいじゃないか!
「アイスコーヒーお持ちしました」
コースターを置いて、その上にグラスを置く。いつもやっている事なのに緊張してしまう自分がいる。
ゆき君はと言うと、私と目も合わせず勉強に集中している。
「・・・?」
その場から動かない私を見て、首をかしげる。
「ご、ごゆっくりどうぞ!」
私はその場から離れて。
目、目が合った!こっち見た!
そしてホントにチョーイケメン!顔が火照る。
「実桜ちゃん!どうしたの?顔が赤いわよ?」
この店のオーナーの恵美子(えみこ)さんが、私の顔を見て心配そうに聞いてくる。
「すいません、大丈夫です!」
ペコっと頭を下げ、「すいませーん」と呼ばれたので他のお客さんのところへ急ぐ。
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