出会い

5/9
前へ
/160ページ
次へ
ーー朝ーー 「…ん、雨?」 雨音で目がさめる。 今日は学校が休みなので、11時からバイトがある。昨日、ゆきに会った事を思い出し、少しニヤける。 でも今日は学校休みだから会えないのか…残念。また喫茶店に来ないかなー。 そぅ、たまに私が働いてる喫茶店にゆきが来て、勉強したり本を読んだりしている。 ーーー1年半前ーーー 忙しいお昼の時間も過ぎ、お店は1度落ち着きを始めた時。 「いらっしゃいませー!何名様ですか?」 「…1人」 って、ゆ、ゆ、ゆき君?? このイケメン様はあの女子の話題に良く出てくる噂のゆき君だ!! 「・・・?」 「あ!こ、こちらへどうぞ!」 落ち着け私!! ゆき君とはクラスは違うけど、他の子が「A組の雪斗くん!チョーイケメン!男子が、ゆき!ゆき!ってあだ名で呼んでたー!」「ねー!イケメンでしょ~!他の女子は、ゆき君で呼んでたー」って話してたのを聞いて加奈と1度A組に見に行った事がある。 「あのー、ここ座っていいの?」 「え?あ、ど、どうぞどうぞ!」 何やってんだ私!バイト中ではないか! しっかりしろ!! 「あの、お決まりになりましたらお呼び下さい!」 「アイスコーヒーで」 「はい、アイスコーヒーですね!今お待ちしますので少々お待ちください」 ペコっと頭を下げて私は厨房の方へ歩く。そうだ、ゆき君は私の事なんか知らないんだから、こんなに緊張しなくていいじゃないか! 「アイスコーヒーお持ちしました」 コースターを置いて、その上にグラスを置く。いつもやっている事なのに緊張してしまう自分がいる。 ゆき君はと言うと、私と目も合わせず勉強に集中している。 「・・・?」 その場から動かない私を見て、首をかしげる。 「ご、ごゆっくりどうぞ!」 私はその場から離れて。 目、目が合った!こっち見た! そしてホントにチョーイケメン!顔が火照る。 「実桜ちゃん!どうしたの?顔が赤いわよ?」 この店のオーナーの恵美子(えみこ)さんが、私の顔を見て心配そうに聞いてくる。 「すいません、大丈夫です!」 ペコっと頭を下げ、「すいませーん」と呼ばれたので他のお客さんのところへ急ぐ。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加