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ーーーそれから現在に至る。
雨はなかなかやみそうになく、あの時のゆきとの相合い傘を思い出して顔が赤くなる。
時計を見てあと1時間でバイトの時間。
私はパジャマから服に着替え、ストレートでセミロングの髪をクシで梳かす。
髪を後ろに一つに束ね、気合いを入れる。
「おはようございまーす!」
恵美子さんや厨房の人達に挨拶をし、エプロンをして準備を始める。
「あ!実桜ちゃん!来たばっかりで悪いんだけど、買い出し行って来てもらっていい?」
「あ、はい!全然いいですよ!何買ってきたら良いですか?」
ーーー雨降りの中、私は恵美子さんに頼まれた物を買いに傘をさしてスーパーまで行き、商品をカゴに入れお会計をすまし、喫茶店に戻る。
「ただいま、帰りましたー」
「あ!ありがとう実桜ちゃん!早くて助かったわ~」
恵美子さんに頼まれた物を渡すと、腕を掴まれ店の端に寄せられ
「え、恵美子さん?」
「来てるわよ!イケメンくん!」
恵美子さんが私にニコニコ?いや、ニヤニヤしながら言ってくる。
そのイケメンくんてもしかして…と思い、恵美子さんが見ている方を見ると
窓側に座って、昨日買っていた本かな?を読みながらアイスコーヒーを飲んでいる人…ゆき!
私がゆきを見ただけで顔が赤くなっているのを見て、恵美子さんは「いいわね~若いって」と言いながらホホホっと笑い、私の腕を離し仕事に戻って行った。
も、もしかして、恵美子さんにバレてます?
私がそのイケメンくんに惚れている事。
余計恥ずかしくなり顔が火照り出す。
「すいませーん」
お客さんに呼ばれハッと我に返り、仕事中!仕事中!と自分に言い聞かせ「はーい!」と返事をし、お客さんのところへ急いで行く。
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