序章『始まりの事故』

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時間はあっという間に流れ、3日後の夜 少年は閑静な住宅街の一角にある自宅へと帰って来ていた 庭付きの三階建てでそれなりに広い家の中に今夜は父母や義妹と交流があった様々な人達が入れ替わり立ち替わり訪れていた 葬式の前日、通夜の真っ最中だ 祖父母や両親の兄弟が来客の応対をしている邪魔にならぬようにと少年は二階にある自室へと引き篭もっていた ブルーのシーツが敷かれたシングルベッドの上で胡座を掻いてボンヤリと天井の照明を眺めながら、自分の足の上で丸まって眠っている小さな子猫を何気無く撫でていた 少年は泣き喚く事も悲観に暮れる事も無く、事故の後にあった事を淡々と思い返した あの後救急車に乗せられて、付近にある総合病院で身体の検査をされ、様々な検査を終える頃には母親の妹である叔母の刹那(セツナ)さんが身元引き受け人として待合室で待機していた 動揺して涙ぐむ彼女の口から両親と義妹の死が告げられたが、やはり実感は沸かないままだった 警察の人が事故の詳しい状況を聞きに来たが、一瞬の出来事であった為に大した事は証言出来なかったのだが、相手のトラック運転手が居眠りをしていたのが事故の原因と言う事らしい・・・ 叔母の刹那さんは怒りや悔しさを言葉の端々に滲ませていたが、やはり少年には現実味の薄い話でしかなかった 少年の胸の内にはただただ喪失感や虚無感といった空虚な感情ばかりが漂っているだけだった 少年が何をするでも無く子猫を撫で続けていると、自室のドアが小さく控え目にノックされた
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