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一階に下りたトキトは固い表情のままキッチンへと一直線に向かった
その途中、玄関付近で通夜の当番をしてくれていた父方の祖父母には流石に軽く会釈はしたが、それ以外の大した付き合いも無いような遠縁の親戚とは目も合わせず、目的の子猫のエサをしまっている戸棚を開けると、そこにあったレトルトパックに入ったマグロフレーク(勿論、子猫用)を取り出して白くて清潔な平皿に手早く盛り付けた
レトルトパックの封を切った辺りから片腕で抱えていたミィー子がその匂いに待ち切れないと言わんばかりにジタバタともがいていたが、エサを乗せた白い平皿と共にキッチンの床に降ろしてやると途端に一心不乱でエサにむしゃぶりついて大人しくなった
トキト「まったく、食いしん坊なヤツだな・・・お前は?」
トキトは呆れ気味にそんな言葉を漏らしていた
叔父「おおぉ?
トキト、お前部屋から降りてきてたのか?」
暫くの間、ミィー子の食事姿をジッと眺めていたトキトの背中に無駄に大きな声で話し掛けてきたのは母親の兄に当たる叔父だった
トキト「・・・。」
トキトが無言で振り返ると、叔父の顔は既に真っ赤になっており、その手には赤ら顔の原因となったであろう焼酎のボトルと半分以上飲み干されたグラスが握られていた
それを見たトキトの顔には明らかに軽蔑の色が浮かび上がっていた
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