最終章 新婚旅行です。

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「んひゃっあ!」 空調は適温になっているはずなのに、汗ばんでしっとりとした肌に白い清潔感のあるシャツが張り付いている。 ネクタイは緩んでいるけれど、まだその細い首には巻き付いたままだ。 暑いとシャツを脱ぎたがった達樹だけれど、執事として主人である俺の指示には抗えずにいた。 ちょっと……意地悪がすぎたかもしれない。 何事にも一生懸命な達樹だから、執事として俺の言葉にはどんな事であれ従ってしまう。 俺はそれをいいことに、泡盛で酔っ払っている、なんて言い訳までして、いつもよりも執拗に肌を貪っていた。 さすがに後で達樹に怒られるかもな。 「あっ! あぁ……ン」 「気持ち良い?」 コクコク頷く達樹の胸に歯を立てると、濡れて張り付いたシャツの下にある乳首を晒すように背中を撓らせた。 堪らなそうにシャツの釦に手を掛けようとした達樹の手を取って、その細い首筋にキスを落としていく。 「ダメだよ」 「で、でも……シャツが……」 「シャツが何?」 「あの、これじゃ」 達樹はもじもじとして言いたい事を喉の奥に溜め込んだ。 いつもなら真っ直ぐに自分の意見を言う達樹も、こういう事に関しては恥ずかしがってしまう。 でもそんな姿が余計に俺を煽ってるなんて知らないんだ。 「もしかして、直接して欲しい? それならちゃんと口に出して言わないと」 真っ赤な顔で目を潤ませるなんて、スイッチの入ってしまった俺には楽しくて仕方がない要素なのに。 もごもごと口篭っている達樹にその先の言葉を催促すると、微かな声が片言の要求を口にした。 「直接触って欲しい、です。……できれば、指、じゃなくて」 達樹の希望を叶えるために捉えられていた手を解放すると、自らシャツの前を肌蹴ていく。 その眺めに自然と目を細めながら、褒め言葉と一緒に欲しがっていた物でその赤く濡れた場所に刺激を与えた。 期待していた甘い泣き声につい楽しくなってくる。 達樹は気持ち良さそうに身体を俺の上でくねらせながら応えていた。
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