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小雪を過ぎ冬本番を迎え江戸は日増しに寒さが厳しくなっていた。闇鬼の時雨との戦いで重傷を負った小見は駒屋に身を寄せながら傷を癒していた。その事を気にかけていた源治が駒屋に顔を出すとそこへ見回りを終えたハチも祖父の形見である羽織を着てやって来る。ハチは寒さを凌ぐために着ていた羽織だったが、そこに徳川家の家紋である三葉葵と天皇家の菊の御紋が印されておりその場にいた全員が驚きを隠せなかった。源治がハチに尋ねるもハチ自身は知る由もない。祖父の形見は他に十手と捕り物網があると聞いた源治は手掛かりになればとハチに見せてほしいと伝え取りに帰らせる。羽織に印された二つの家紋について考える小見達、その時お駒が源治にハチを引き取ることとなった時のことを尋ねるとハチは御庭番の子であったが幼くして身寄りを亡くし自分が引き取ることとなり、それは時の将軍吉宗からの直々の命令だと言うことだった。その場にいた誰もが驚きを隠せず御庭番を勤めるお駒自身も初耳だった。暫くしてハチが祖父の形見である十手、捕り物網、笛を持って戻ってきた。それはいずれも真っ黒で今まで誰も目にしたことがないような物でありハチと二つの家紋が印された羽織については謎が深まるばかりであった。
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