第1章 曇天

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柄にも無い事を言ってしまったと思ったが、初対面のコイツしかいない所で言い訳する必要も無い… 再びダルさに襲われてベンチに深くもたれ掛かると俺の前にピエロの右手が伸びてきた。 「クラウン・クロエ21歳です。」 右手を俺の前で振り握手を催促しているようだ… 「は?外国人だったの?」 無視するつもりが純和風の顔立ちとのギャップについ反応してしまった 「黒羽 聖(クロバネ アキラ)…歳は24…」 ベンチにもたれたままクロエの手を取った 「外国人じゃないよ…本当は黒江 光(クロエ アキラ)名前一緒だね、僕のはひかりって書いてアキラ」 「俺は聖書のセイでアキラ…」 俺の手を取ったクロエの顔色が変わった…ヒタッと首筋に冷たい感触…クロエの冷たい手のひらが俺の首から熱を奪っていく。 「聖…熱あるね…」 「そりゃぁ…入院してるくらいだしな…」 首筋に添えられる手を振り払うのもダルく、何よりその冷たい手が気持ち良かった…
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