第1章 曇天

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部屋と開いたカーテンとその奥の空の境目も曖昧な、灰とも白ともつかない色の部屋で先程自分が友人になってくれと頼んだ人物を眺める… 起こして礼を言った方が良いだろうか… それもどうだろう… どんな顔していいか分からないし、そのまま帰ってくれれば良かったのに…面倒だ…。 俺が言ったことに対して突っ込んでくるだろうか…? …ま…言われたとしても記憶に無いで済ませれば良いか…。 音を立てない様にミネラルウォーターを開け飲み干し再び横になる…目を閉じて泣いていたクロエの横顔を思い出す。 自分のために泣いてくれる人がいたら… 死にたくないとか思うだろうか… まだ半分以上残ってる点滴バッグの中身を眺めながら静かに深く息を吐く ミネラルウォーターで冷やされたはずの胸からまたすぐに熱のこもった息が上がってきて、身体の中の熱を追い出すように呼吸を繰り返しているとパイプ椅子が小さく軋む音がした。
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