257人が本棚に入れています
本棚に追加
燃え盛る炎が全てを焼き尽くす。
何もかも奪われた。
私の願いも…、私の想いも…。
私の名前は愛風 南。
そして今私の向かいにいるのが私の弟。
愛風 鈴。
私の愛する人。
永遠に結ばれる事のない相手。
「姉さん結婚おめでとう…。」
「あ、ありがとう…。」
私は貼り付けたような笑顔を向ける。
鈴はそれとは正反対、怖いくらいに笑顔だ。
今日は私の結婚式。
私は幼い頃からの許婚であるお兄ちゃん、結城 司と結婚する。
司は私と鈴の幼馴染みで、旧知の中だ。
「そのウエディングドレスはアイツの趣味?
それとも姉さんの?」
鈴が私を姉さんと呼ぶのは今日が初めての事だ。
なぜかすごくいやらしく感じるのは、私が鈴を強烈に意識してるからだろうか?
「私が選んだの。
司好みのドレスを。」
「そ…。」
無表情のその顔は何を考えてるのかわからない。
鈴が怖い…。
あんなに私を愛おしみ、守り抜いてくれたのに。
.
最初のコメントを投稿しよう!