257人が本棚に入れています
本棚に追加
そもそもあの火事が無ければ…。
悔やんでも悔やみ切れない。
どうしてあんな事をしてしまったのか…。
あれから私と鈴の歯車は狂い、噛み合う事はない。
もうあの純粋だった子供の頃には戻れない。
待っているのは非情な現実だけ。
私は鈴の姉で、鈴は私の弟。
「…それにしても綺麗だね。
そのドレスごと滅茶苦茶にしたい。」
「…っ!」
多分鈴は何の感情もなく口にしている。
だけど私は心臓が弾け飛びそうだった。
ドキドキと不安定で激しく鼓動する。
「な、何を言ってるの…?」
動揺があからさまに顔に出る。
蒸気する頬。
「まさかとは思うけど…、俺を意識してんの?」
今日は司と二人きりの結婚式。
だからこのフィッティングルームには誰も来ない。
「まさか…、
私たちは姉弟なのよ…。」
意識している。
私は鈴を猛烈に意識している。
.
最初のコメントを投稿しよう!