【1】ミナミ 私の場合 1

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「痛い? でも大丈夫だよ。 手袋越しなんだから跡は付かない。」 私は恐怖の顔を浮かべて鈴を見つめた。 鈴は真っ白なグローブを容赦なくギリギリと締め付ける。 「何震えてんの? 俺が姉さんを傷付ける筈ないでしょ?」 嘘っぽい…。 いつからそんな目を向けるようになったんだろう。 「だ、だったら離して…、」 「やだよ。 離したらまた逃げるじゃん。 今度こそ絶対に逃がしてやんない。」 言い方はすごく軽いのに、鈴の表情が、瞳が、怒りに打ち震えていた。 私を憎んでる…。 それがわかってしまったから…、 「離してっ!!」 私は鈴の手から強引に逃れようとした。 何を傷付いてるの…? 自業自得でしょ。 いくら自分に言い聞かせても悲しい、哀しい。 「へー、少しは傷付くんだ…?」 鈴は私の手首を押さえながら満足そうな顔。 「いいじゃん…、その顔もっと見せてよ。」 .
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