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「痛い?
でも大丈夫だよ。
手袋越しなんだから跡は付かない。」
私は恐怖の顔を浮かべて鈴を見つめた。
鈴は真っ白なグローブを容赦なくギリギリと締め付ける。
「何震えてんの?
俺が姉さんを傷付ける筈ないでしょ?」
嘘っぽい…。
いつからそんな目を向けるようになったんだろう。
「だ、だったら離して…、」
「やだよ。
離したらまた逃げるじゃん。
今度こそ絶対に逃がしてやんない。」
言い方はすごく軽いのに、鈴の表情が、瞳が、怒りに打ち震えていた。
私を憎んでる…。
それがわかってしまったから…、
「離してっ!!」
私は鈴の手から強引に逃れようとした。
何を傷付いてるの…?
自業自得でしょ。
いくら自分に言い聞かせても悲しい、哀しい。
「へー、少しは傷付くんだ…?」
鈴は私の手首を押さえながら満足そうな顔。
「いいじゃん…、その顔もっと見せてよ。」
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