とあるサラリーマンの心情

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「あぁ。」 「おっ。」 「キタキタっ!」 「こんな毎日の唯一の癒し!」 「◯◯ヶ丘で乗ってくるセミロングのあの子!」 「いやあ、マジで今日もカワイイ!」 「スタイルも良いし、スーツのセンスだってかなりいいよなあ。」 「化粧もそこまで派手じゃないし。」 「ああ、ヤバイ。見てるだけで幸せだわ。」 「いくつくらいなんだろうな。」 「仕事なにやってんだろ。」 「◯◯学園前で降りてるからあそこら辺で働いてんのかな。」 「てか、名前。」 「名前なんていうんだろ。」 「エリナ…いや、カオリっぽいな。もしくはマリコ。」 「なんでもいいか、どうせ違うし。」 「ああヤバイ、マジで話してみたい。」 「いっそ話しかけてみるか?」 「なんて?」 「『こんにちは。いつも同じ、電車ですよね?』ってか?」 「いやいやいや、ないないない。」 「まず『おはようございます』だろ朝なんだから。」 「『おはようございます。いつもステキですね。』とか?」 「『良かったら名前、教えてもらえませんか?』みたいな?」 「ていうか普通、知らない奴がいきなり話かけてきたらどう思うかな。」 「……」   「すっげえキモいわ。」 「やめとこ。」 「はぁぁぁ。」 「マジでこうして見てるだけかよ。」 「虚しいぃぃ俺の人生。」 「もっと近くに行きたいけどなあ。」 「あんまり近寄り過ぎて痴漢とかに間違われたくないしなあ。」 「かといってこのままだと遠すぎるんだよなあ。」 「あぁぁすげえ良い匂いすんだろうなあぁぁ。」 「……」 「やべえ俺ヘンタイじゃん。」 「サイテーだわ。」 「はぁ。」 「不毛な人生だわ。」 「あ、降りてった。」 「もう次降りなきゃ。」 「こうやって毎日同じ繰り返しなんだよな。」 「俺の人生なんなんだろ。」 「はあ。」 「なんで今日、月曜なんだろ。」 つづく
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