プロローグ

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高校の時、先輩はよく一人で校舎裏にひっそりとある花壇近くの大木の下で泣いていた こっそりと静かに、誰にも見つからず… そんな先輩を見つけたのは俺だった たまたま、本当に偶然大木の下で昼寝でもしようと訪れた、そこには頬を赤く染め目をこすり泣きじゃくる上級生がいた 手足は白く折れそうなほど細い、艶やかな黒髪は涙で肌にはりつき濡れていた 相手は泣いているというのに見とれてしまった… ここまで綺麗な泣き方をする人間を俺は見たことがなかったのだ 数分そうしていると先輩はこちらに気づいた、涙で潤んだ宝石のような瞳は俺に向けられ頬は今以上に赤く染められている 先輩を好きになったのはきっとその時だったんです 最初、貴方の泣き顔に俺は恋をしました
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