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体育館裏というベタなシチュエーション。俺は今まさに告白される寸前だった。
相手は高校生活二年間で一度も話したことのない女の子。
名前は確か、嶺倉 鈴(みねくらすず)。
長い前髪のせいで顔がよく見えず、誰に何を話しかけられても無視。いつも一人で行動している変わった娘。
「えっと、ロッカーに入ってた手紙、読んだんだけど」
嶺倉は俺を前にして、直立不動を貫いている。前髪のせいでどこを見てるかもわからない。
緊張してるのだろうか。
できるなら早く済ませてほしい、とは言い方が悪いかな。
しかしどれだけ時間をかけようと言うべきことは決まっているんだ。
初めから断る以外の選択肢はない。
だってもう既に、彼女がいるのだから。
「あの――」
「あなたが好きです。付き合ってください」
「!?」
嶺倉は突然言葉を発した。
驚いた――が、想いをしっかり口に出してくれたんだ。
ちゃんと断ろう。
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