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「ねぇ、今日海未のアパート行ってもいい?」
「どうしたの、突然」
「海未とお酒が飲みたくって」
伶香ちゃんはいわゆる酒豪ってやつでした。私も飲めないことはないけれど、自ら飲むことはなくて、こんな風に誘われた時だけ少しだけ飲む、といった感じです。
「なんかあったの……?」
「……今日はサシ飲み女子会よー!」
伶香ちゃん、何かあったみたいです。
「女の子」って言うよりは、頼りがいのある「女性」と見られがちな伶香ちゃん。私も最初はそう思っていました。けれど、伶香ちゃんは深く話してみると誰よりも「女の子」でした。そのギャップもなんだか可愛くて。女の子な伶香ちゃんが本当の伶香ちゃんなんだろうけれど、強い伶香ちゃんも好きでした。どちらも持っているということが、私には素敵に見えていたし、仲良くしたいなと思う要素のひとつでもありました。
「はーい、じゃあ今日はここで現地解散です。この後は、各々でお楽しみを~」
サークル代表の先輩がみんなを集め大きな声で言いました。
「先輩~ご飯おごってください~」
「飯、行くか」
「みんなー!カラオケ行こうぜー!」
ここからは修学旅行で言うならば自由時間。上下関係も男女も関係なく仲良しなみんなは、それぞれに好きな方向で盛り上がりに行くようです。
その中から、暁良先輩の姿を探す自分がいました。無意識に、気が付いたら探していました。誰と、何処へ、行くのだろう、と。
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