歴史のレシピ

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「だから!宇宙人なんて何処にもいないんです」  そう叫んだ彼女は、大きなくりくりの目を更に見開き、ぷくりと頬を膨らませた。 「そもそも宇宙には、地球人以外の知的生命体なんて存在しないんですよ」  そう言いながら呆れたように俺から視線を反らした彼女は、 「皆が宇宙人だって思ってるモノは、ぜーんぶ地球人の子孫なんです。私の言ってる事、分かります?」 と言って、俺の方をキッと睨み付けた。  真っ黒な瞳とツヤツヤに輝く天使の輪を携えたショートボブの黒髪の彼女は、少し着崩した夏服のブラウスに1年の象徴である緑色の細いリボンを結んでいる。  2つも年下の女の子に、俺はもう30分近くも『宇宙人は地球人の子孫である』と言う彼女の持論を説かれているのだ。  マジ、参る。  何でこんな時に限って誰も来ないんだよ。  もう部活、始まる時間だろ?
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