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「明日にしようと思ってたけど、これからメンバー決めるか。――おい、集合!」
くそっ。
よりにもよって、おれの調子がこんな時にか。
おれは向こうに停まってる原付で安井を轢きたくなった。
「今から四人選ぶ」
おれと啓介は顔を見合わせた。
「十一人全員で三周走って、速い四人を大会の主要メンバーとして出す。ただし二周目で遅いやつを四人、次に三人落としてくからな。本気出せよ」
「はい!」
かすれ声で安井に返事をし、おれたちはそれぞれのバイクを取りに行く。
「エリミネーション……」
不安げに呟いた啓介の顔が、すっと引き締まった。
エリミネーションは、さっき安井が説明したように、一周ごとに一番最後の選手、または遅い数人をふるい落としていく形式のレースだ。最初っから仕掛けないと勝ち残れない。
ただ、日頃から計ってるタイムを無視してこんな面倒臭いことをさせるあたり、あいつが愉しんでいるのがわかる。
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