1人が本棚に入れています
本棚に追加
「多分、ぼくらのコンディションと仕掛けかたを見るんだろうね」
「あの腐れドS、マジ性格出てんな」
啓介は淡々としている。一方のおれは愚痴が止まらない。
「気のせいかな、寒気までするしよ」
「――え」
「とにかく、レギュラーは獲りにいく」
おれはバイクに跨がってコースに出た。
安井の嫌がらせには、絶対負けねえ。
……この時頭がやけに熱かったのは、きっとやつに対する感情が高ぶっていたせいだと思っていた。
西荻宮高自転車競技部は一年が四名、二年が四名、そして引退間際のおれたち三年は、三名。
三年以外でレギュラーになれそうなのは二年の筧、あとは藤枝……一年はまだまだだ。
二年メインで組むべき頃だってのはわかってるけど、まだおれたちが引っ張っていかなきゃいけないって気持ちは強い。
……自分に正直になって言えば、レギュラーを譲るのは早いって思ってる。
最初のコメントを投稿しよう!