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「今日は頼む、行ってくんない?」
「……ふー……」
疑るような深いため息が返ってきた。そして、
「パーラーのフィッシュバーガーセット、デラックスで」
「!」
財布の中身がさっと頭をよぎった。
今月の小遣い、今日で五分の一が……。
「……やっぱり高くつくな、お前……」
「止める?」
啓介の声は笑っている。おれは歯ぎしりして、急にガンガン響きだした頭痛を紛らす。
「おれの性格、知ってんだろ?」
「……決まりだね」
啓介がすっと前に出る。風のように自然に、しなやかに。
おれはその後ろにぴたりとついた。
一年、エリミネイト――安井の声が聞こえる。
二年と三年で四つの椅子を争うのは想定通り。
これからだ。
啓介に先行してもらうのもれっきとした作戦。
チームプレイとコンディションを安井に見せつけて、勝たないと。
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