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「生霊族が晶子先輩を見張っているのなら、俺がその生霊族を見つけ出すよ」
「気持ちは有難いけど、危険よ。相手は銃を持ってるかもしれないから」
晶子は俊介の傍に歩み寄った。俊介は立ち上がって晶子を真っ直ぐに見た。
「俺は、椿忍者の末裔だ。生霊族の悪党を懲らしめるのが俺の使命だから。それを忘れないでくださいよ、晶子先輩」
俊介の強い押しに、晶子は呆れた。
「分かったわ。一緒に戦いましょう」
翌日のお昼休み、晶子と朋美は屋上でお弁当を食べていた。
「一昨日あった数学の実力テストの結果見た?」
朋美が話題を提供した。
「うん。また、永井修が一位だったわ。秀太さんは二位だったしね」
「でも、いつも満点っておかしくない?」
「そう言えば、以前もこんなことあったわね」
「二宮祐二よ。全国模試で満点取ってたわ。メルサを使ったカンニングで」
「でも、永井修がメルサと関係あるとは思えないわ。それに、二宮祐二の時は取り巻き四人組が協力してたし。永井修にそんな力はないでしょ」
「じゃあ、実力なのかしらね」
そこへ、秀太がやって来た。
「やあ。いた、いた」
「なによ。いた、いたって。蝉かカブトムシを見つけたみたいに」
朋美が口を尖らせた。
「わたしも、秀太さんには、同じことを言いたいわ」
晶子も攻撃的だった。
「どうしたの?二人とも。今日は怖いね」
秀太が引いた。
「そりゃあ、そうよ。昨日のお昼休み、わたしと朋美は生徒会室で秀太さんのことずっと待ってたのよ」
晶子の非難に、秀太は頭を掻いた。
「ああ、ごめん。そのこと?実は、部室で写真の整理をしてたら遅くなっちゃって。慌てて生徒会室に行ったら君たち、もういなかったんだよね」
「それ、何時ごろのこと?」
「えーと。部室の時計が確か、十二時四十分を指してたよ。それで、あわてて、非常階段を使って三階の生徒会室に行ったんだけど。でも、もうドアはロックされてたんだ」
秀太の言葉に、晶子と朋美は顔を見合わせた。
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