転移再発による抗がん剤で転院

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2月17日。 母と見舞いに。 父は加湿器に囲まれて寝ていた。 しばらくして看護婦さんが胃ろうを繋ぐために毛布をめくり準備を始めた。毛布を剥がされた父は目を覚ました。昨日と変わらないようだったが、父は起き上がった。ベッド柵を掴み自力で起き上がる体力はあった。昨日と比べてもあまり変わりは無いらしいが、母が来たからか頑張って起き上がったのだろうか。トイレにも自分で起きて行った。 もうこのままだと思っていたので良かった。 母は時折、涙を手でぬぐいながら父と話をしていた。もうすぐいなくなってしまうかもしれないショックと、まだ大丈夫だという安堵の涙だろう。私は赤ちゃんに授乳をしに行き戻ると母はオペが終わった主治医に呼び出されて病状説明を受けているらしい。 母の涙に本人無しでの病状説明…『俺、死んじゃうの?』『俺、もうそろそろヤバイの?』って思うじゃん。 肩凝りが限界だったので赤ちゃんを父の足元の空いているスペースに転がしたら父は握手をし、ほっぺを撫でた。息子は「あー、うー」と父に一生懸命話しかけて、父は頷き微笑みながら聞いていた。その間にストレッチ!一生懸命話しかけて数分後、喉が乾いたとグズりはじめてまた授乳。赤ちゃんパワーでなんとかなれ!! 明日は島にお嫁に行った看護婦の姉が急遽上がってくる。 これでもっと元気を取り戻してくれたらいいなぁ…。 例えるなら父は突風に煽られながら綱渡りをしている感じだろうか。癌になるまでは、山あり谷あり平坦な道だったのが平均台になり、今じゃロープだ。しかも突風に煽られ落ちないように『おっとっと…』とバランスを取ろうと必死だ。 昨日よりも良くて安心した。
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