第1章

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今日も一日の課程を終えた合図のチャイムが校内に響く。 すると、タガが外れたようにクラスメイト達は思い思いに雑談を始めた。 放課後はどこで遊ぶかを決める明るい声や部活やバイトが始まってしまうと嘆く暗い声。毎日の事だけれど様々な内容で満たされた教室は何処か居心地が良いものだ。 ------さて、今日も掃除の時間か。 僕は掃除係で、毎日授業が終わると床掃除を始める。いや授業が終わるというよりも午後三時三十分になると決まって床掃除を始めるのだ。 そんな自分ルールに律儀な僕に「今日も掃除頑張れよー!」と投げかけて教室を急いで後にするサッカー部のクラスメイトや掃除をする僕に気づきもしないのか、挨拶もしてくれない人もいる。 掃除は最も行いたくない雑用だと考える人が多いのか、僕は感謝されることが多い。誰かの為に行っているのではなく、割り振られた仕事だからこなしているだけなのに。どの生徒にも係りという仕事はクラス単位で決められているから僕は感謝されると申し訳ない気にさえなる。 黒板の脇にある水槽の掃除や魚の餌やりをする飼育係の方がよっぽど大変かと思うのだが、掃除係はそれ以上に不人気だ。 授業が終わった後のざわつきは嵐の様にすぐに去るもので、いつのまにか教室には僕一人。掃除係は僕だけなのでいつも一人静かに掃除をして帰宅するのだ。
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