第1章

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「君って意外と愛嬌あるのね」 僕が出す小さな存在感が支配した放課後の教室は、何処か色味に欠けていて味気ない夕暮れを演出していたが、その青く透き通った声音が一瞬で教室を彩る。 教室には誰もいないと信じ込んでいたので呼びかけられただけでも驚いたのだが、唐突過ぎる内容にはもっと困惑して身じろいだ。 急いで声がする方に身体を向けると目の前に颯爽とした女生徒が一人佇み、困惑気味で物静かな女生徒が一人教室のドアに寄りかかっていた。 女性に好意を寄せられた経験がない僕は、驚きと恥じらいの他に不思議に思った。今まで話かけられた事もない彼女からなぜ唐突に告白されているのかと。そして何故告白の場に友人を連れて来たのかを。 悩む時間など与えないと言わんとする様に彼女は顔を僕の方に近付けて、 「私、初めて君を知った時から君が欲しいと思っていたけれど、中々勇気が出なくてずっと君をみていたのよ」 と、妖艶な笑みを浮かべて話した。 あれれれれ?き、聞いたかい一目惚れだってさ!それに「君が欲しい」なんて男らしい台詞まで言われてしまったらしい。 らしい、だなんて他人事みたいな言い回しなんてするんじゃない僕。これはお前の問題なんだぞ!と、心の中ではしゃぎながら照れ隠しありきで掃除を続けていると、綺麗な顔をして実は恋愛の類いに興味津々なのか、彼女は更に続けて僕の事を褒める。
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