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「見た目もそうだけど、君の働きはクラスメイトに好評なのよ?仕事は早くて丁寧で、人が見ていない所でも決してサボったりしない。縁の下の力持ちだって男子からも良い評判聞くし、女の子のファンが意外な程多くいるってこと自分で気づいていないでしょう」
そういうと彼女は微笑んで僕の顔に手を添えた。
僕なんて掃除しか取り柄がないし、その掃除だって僕専用の道具じゃないと上手く掃除出来ないし、ゴミ捨ても週に一回は誰かに手伝ってもらっているのにそんなに褒められることじゃないのに!でも褒められるのは非常に心地よくて気分が高まる。
それにしてもなんて大胆な子なんだろう、高揚する想いとは裏腹に初心な僕は照れてそっぽを向いてしまった。
顔を向けた先に目線に入るのはやはりドアによりかかって気まずそうな女の子だ。何故彼女は友達をこんな場に連れて来たのだろうか。
僕も何処か居心地が悪いのは確かだが、この女の子は僕以上に居場所がないだろう。
それに男女のこんな状況を目の当たりにしたら普通「私先に行っているね」と気を回して教室を後にするものではないか?だがこの女の子の場合はそんな気遣いはなく、全くその素振りを見せなかった。
彼女はそんな女の子の様子には目もくれず、僕を口説き通した。
僕も満更ではないのだが、女の子の目線が痛くて何も切り出せず掃除を続けると、
「......ゆかりちゃん!」
と、今まで一度も口を開かなかった女の子が痺れを切らして初めて発言した。
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