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じわりと幸せが湧いてきて、心から思った。
(この子が無事で、本当に良かった)
以前よりも出っ張っている下腹部は、私が眠っている間にも、子供が元気に成長していた証。
ほっと安堵して、蹴られた辺りをそっと撫でていると、再び柔らかな風が舞い込んできた。
微かに混ざる、花の芳香。
生死の境に立っていたのに、こうして春の息吹を感じられるだなんて、まるで奇跡のようだ。
改めて五感を確かめている私の耳に、引き戸の開く音が届いた。
顔を向けた先には、ギョッと目を丸くする若い看護士の姿。
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