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「氷室さん、目が覚めたんですね!
今、今すぐ、先生を連れてきますから! ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ待っていてくださいね!」
まるで幽霊でも見てしまったかのような慌てぶりだ。
まだ病院に勤め始めたばかりなのだろうか。
初々しくて、可愛らしい。
呑気に考えているうちに、先ほどの看護士に引きずられるようにして、中年の医師がやってきた。
「氷室さん、気分はどうですか?」
血圧や体温を計ったり脈を取ったりと、大忙しの新米看護士とは対照的に、貫禄たっぷりの医師は、のんびりベッド横のパイプ椅子に腰掛ける。
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