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────言葉が出てこない。
返事どころか、頷く事すらできない。
代わりに目からポロポロと涙がこぼれ、握りしめた拳の上に落ちた。
痛い。
胸が痛くて痛くて、耐えられない。
からっぽになってしまった体の中にぽつんと置き去られた心臓が、悲しみに押し潰されるようだ。
「……花純はゼロを愛してたの?
怒らないから、正直に言っていいよ」
ベッドに腰掛けた碧さんが、私の頬を優しく撫でながら、問い掛けてきた。
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