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音となって唇に乗る事はなかったけれど、その心は充分に伝わってきた。
二度と会えなくなるのならば、きちんと向き合って言葉にすれば良かった。
失ってから後悔したって、遅いのに。
告白を聞き届けた碧さんは、約束通り怒ったりせず、私を柔らかく抱きしめ、フッと短い溜め息をついた。
「その言葉だけで、彼の魂もきっと浮かばれるよ」
ふいに差し込む違和感。
碧さんがゼロさんを“彼”と呼んだ。
“あれ”や“それ”ではなく、“彼”と。
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