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じわりと染み出した疑念を確信に変えるため、私は碧さんのシャツのボタンを、乱暴に外していく。
「何? どうしたの、花純?」
戸惑う声を無視して露出させたその左肩に、見慣れた“零”の文字は────ない。
そこにあるのは、ケロイド状にひきつれた火傷の跡だけ。
「あぁ、これ?
あの時、落ちてきた木片が当たって、火傷したんだ。
他にも何ヶ所かあるけど……ここで裸になるわけにもいかないから、退院したら、家で見せてあげるね」
傷を負った経緯を知らされ、高揚が沈静化していく。
(やっぱり私の思い違いかな……)
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