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裸の胸に頬を寄せれば、背中に優しく腕が回される。
感触と温もりに郷愁をかき立てられるものの、その根源をはっきりと思い出せない。
眠っている間に、時が記憶を削り取っていってしまったかのようだ。
心地よい鼓動に耳を傾けていると、疑心暗鬼がゆるゆると消えていく。
あまりにもショックな出来事が続いたせいで、神経が過敏になっているのかもしれない。
そっと見上げた先にある微笑は、完璧すぎるほど完璧で、どこからどう見ても、碧さんそのもの。
疑う余地など、ありはしない。
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