Eternal transient

18/21
前へ
/33ページ
次へ
淡く微笑み返すと、私の髪を優しく撫でながら、愛してやまない声が囁いた。 「君を失いかけて、初めて気付いたよ。 遺伝子の相性なんて、きっかけにすぎなかったんだ。 君はどれだけ傷付けられても、他の男に抱かれても、僕に愛を向けていた。 そんな君だから……いつの間にか僕にとって、かけがえのない存在になってたんだ。 今なら、心から言える。 愛してるよ、花純。 お腹の子も、僕はきっと愛せる。 出処は違っても、僕の遺伝子を受け継ぐ子供なんだから」 瞳に浮かぶ温かな光を見れば分かる。 これはきっと、嘘偽りのない最上級。 何度も諦めようとしたけれど、諦めきれなかったもの。 私がずっと欲しかったもの。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

279人が本棚に入れています
本棚に追加