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淡く微笑み返すと、私の髪を優しく撫でながら、愛してやまない声が囁いた。
「君を失いかけて、初めて気付いたよ。
遺伝子の相性なんて、きっかけにすぎなかったんだ。
君はどれだけ傷付けられても、他の男に抱かれても、僕に愛を向けていた。
そんな君だから……いつの間にか僕にとって、かけがえのない存在になってたんだ。
今なら、心から言える。
愛してるよ、花純。
お腹の子も、僕はきっと愛せる。
出処は違っても、僕の遺伝子を受け継ぐ子供なんだから」
瞳に浮かぶ温かな光を見れば分かる。
これはきっと、嘘偽りのない最上級。
何度も諦めようとしたけれど、諦めきれなかったもの。
私がずっと欲しかったもの。
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