279人が本棚に入れています
本棚に追加
距離を詰められても、私達はもう一歩も後退できない。
少しでも下がろうものならば、辛うじて防げている熱波に取り込まれてしまうだろう。
まさに袋のネズミだ。
碧さんは2メートルほど手前でピタリと足を止め、花が咲き誇るような完璧な笑顔を、私に向けてきた。
「もう一度だけ忠告するよ。
花純、ゼロからアタッシュケースを受け取って、僕とおいで」
言う通りにしたら、きっと碧さんは邪魔者のゼロさんを突き飛ばし、炎の餌食にする。
逆らえば、ゼロさんが碧さんに危害を加えるか、最悪の場合、その手に掛ける。
最初のコメントを投稿しよう!