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牛小屋の前から玄関には人一人がやっと通れる程度の小道が10メートル程続いており、右手は土手、左は竹やぶの土の上り坂になっている。
この坂を上りきると玄関で、僕は「こんにちは」と努めて明るく挨拶をするとツカツカと敷居を跨いで家の中の土間に入った。
居間から「入りなさい」との声がする。
閉まった引き戸を開くと、テーブルの左右に両親が座り、彼女は奥の正面に居た。
三人共に妙に深刻めいた表情である。
僕は何事かと思ったが、手前の空いてる席に着座した。
彼女は目を合わそうとはせずに、じっと座った姿勢のままで居る。
静けさを打ち破ったのは親父さんであった。
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