第3章 新、新たな生活

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 赤い顔をしたその命は、両手を拳にし、一生懸命に声を張り上げている。   白い薄い肌は僕に似たのか。   赤ん坊の周りに輪を作り、皆口々に「可愛い」、「どっち似なんだ」と色々と言っていたが、僕は頑張った彼女に何と声を掛けたのか。いや、多分何もそれらしい事は言ってないだろう。そんな気がする。   名前は僕が付けることにした。  本屋に行き、名前の付け方を教える書物を購入すると、当時としては少しばかりハイカラな、そんな名前にした。   彼女には異論は無いようであるが、内心がどうだったのかは分からない。   ただ、そんなこんなで赤ん坊が一生名乗っていくことになる名前が決定したのである。
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