第1章 未踏の地にて

4/5
67人が本棚に入れています
本棚に追加
/257ページ
「こんにちは」  こっちよりも先に声を掛けられ、僕は慌てて言葉を返した。  「こんにちは」  何とも間抜けな返事である。こんにちはの後にもう少し気の利いた台詞は無かったものか。僕は必死に言葉を探した。しかし、次の言葉はやっぱり彼女のほうだった。  「乗っていい?」  昼下がりの日差しの中でそれはまばゆいような笑顔であった。   僕は、左手を思いっきり伸ばし、助手席側のドアを内側から開いた。
/257ページ

最初のコメントを投稿しよう!