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それでも僕を追い出すような素振りは無かった。
その環境に僕は図に乗るだけ乗っていた。
ある日の昼間、突然に彼女の両親が部屋に訪れた。余り言葉数が多いとは言えない親父さんに退屈する時を過ごした。
夕方、帰宅する歳に親父さんは僕に一つだけ言葉を残した。
「一緒に住むのは良いが、子供だけは作るなよ」
僕は「分かりました」と返事をし、彼女の両親を玄関先で見送った。
遠ざかって行く白い車を見届けながら、
「疲れた・・・」
僕はそう彼女に言った。
彼女は笑っていたが、今に思えば、嫌な気持ちになったに違いない。
それでも彼女は表情にも態度にも表すことはしなかった。
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