8 海と人と

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「例え、嘘でもお芝居でも、貴方は私を心配してくれた! 励ましてくれた! あの時の嘘もお芝居も、私にとっては遠い異国で初めて噛み締めた“真心”だった!!」 しばらく、誰も動かなかった。話さなかった。 そしてようやく、“通訳さん”が眼鏡の奥にいつもの穏やかな微笑みをたたえながら、口を開いた。 「ありがとう、若宮さん。 今の私を信じてくれて── それなのに、今の私は貴女に何もしてあげられない。友人なのに……」 “通訳さん”は苦しげに口元を引き結ぶ。 由衣はそんな彼を見ながら、安心したようにこう言った。 「いいえ、1つだけあります」 「それは……?」 「私を“ルー・ガルー”の元へ連れて行って下さい」
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